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建築学部・建築学研究科ニュース

文化庁委託業務「トルコ共和国における歴史的市街地の復興に関する拠点交流事業」を実施中!(2024年4月~)

 2023年2月6日(月)にトルコ南東部を震源とする地震が発生し、甚大な被害が発生しました。古代セレウコス朝シリアの首都アンティオキアであった歴史都市アンタキヤでも、多くの文化財建造物が崩壊し、歴史ある旧市街の町並みは壊滅状態となりました。
 武庫川女子大学建築学部・大学院建築学研究科は、文化庁から令和6年度文化遺産保護国際貢献事業(文化遺産国際協力拠点交流事業)「トルコ共和国における歴史的市街地の復興に関する拠点交流事業」を受託し、歴史的市街地の復興における都市景観形成を担うトルコ人若手専門家の人材育成を行うことを目的として、アンタキヤ旧市街の復興都市デザインを提案する拠点交流事業を実施しています。

「アンタキヤの復興都市デザインシンポジウムの開催」

2024年11月7日(木)18:00~20:00

会場:バフチェシヒル大学 南キャンパス

主催:文化庁、武庫川女子大学、バフチェシヒル大学

シンポジウムポスター

 バフチェシヒル大学南キャンパスにて、シンポジウム「アンタキヤの歴史的都市景観の復興」を開催しました。
 まずはじめに、今回の震災により犠牲となられた方々に対して哀悼の意を表すべく、参加者全員で黙祷を捧げました。続いてバフチェシヒル大学建築デザイン学部長のムラツ・ドゥンダル教授より、開会の挨拶がありました。バフチェシヒル大学と武庫川女子大学との間のこれまでの交流についての紹介があり、特に2011年のトルコ東部地震の際には共同で現地調査を行った旨の説明がありました。また在イスタンブール日本国総領事館の笠原謙一総領事が会場にお見えになったので、ドゥンダル教授から紹介があり、総領事からもご挨拶をいただきました。
 次に柳沢和彦教授から、本プロジェクトが文化庁の令和6年度文化遺産国際協力拠点交流事業によるものであること、そして本プロジェクト以前のイベントとして、1)2023年4月の現地調査、2)2024年2月の現地調査、3)2024年3月の公開セミナー(会場:武庫川女子大学)を実施したことの紹介がありました。特に3)公開セミナーでは、復興案のベースとなる意見書が提案され、建築都市設計の視点から9つの提案等がなされたことの説明がありました。
 シネム・キュルトゥル准教授からは、本プロジェクトにトルコの若手研究者として参加した立場から、本プロジェクトで実施した①現地調査ワークショップ、②アンタキヤ住民アンケート、③復興都市デザインスタジオ(武庫川女子大学にて)についての説明があり、それぞれの成果についての解説がありました。特に②アンタキヤ住民アンケートでは、434人から回答があり、その中で約98%の人が、先の9つの提案を評価していることが示されました。③復興都市デザインスタジオでは、武庫川女子大学の教員や学生とともに、アンタキヤ旧市街の復興都市デザインの提案を作成したこと、さらには京都大学防災研究所、兵庫耐震工学研究センター(E-ディフェンス)、免震研究推進機構(E-Isolation)を訪問し、世界の最先端をいく日本の地震関連実験施設の視察を行ったことの報告がありました。
 山本親教授そして鳥巣茂樹教授は、③復興都市デザインスタジオにて作成された、アンタキヤ旧市街の復興都市デザインを発表しました。山本教授は建築設計の立場から、復興では何が大切かという話をするとともに、先の9つの提案に基づいて作成されたアンタキヤ旧市街の復興都市デザインの動画を披露しました。鳥巣教授は建築構造設計の立場から、特にアンタキヤの都市景観の復興の肝である、伝統的住宅建築の耐震化の提案を行いました。
 その後質疑が交わされ、盛況のうちに閉会となりました。

登壇者 集合写真

ムラツ・ドゥンダル教授 開会挨拶

柳沢教授 これまでの経緯について説明

シネム・キュルトゥル准教授 本プロジェクトの一連の説明

山本教授 アンタキヤ旧市街の復興都市デザインの動画披露

鳥巣教授 アンタキヤの伝統的住宅建築の耐震化の提案

「復興都市デザインスタジオ」

2024年9月5日(木)~14日(土)

参加者:武庫川女子大学専門家10名、バフチェシヒル大学若手専門家2名、武庫川女子大学大学院建築学研究科修士2年生25名

 トルコ・バフチェシヒル大学の若手専門家2名を武庫川女子大学に招聘し、武庫川女子大学建築・都市デザインスタジオ(一級建築士事務所)にて、アンタキヤ旧市街の復興都市デザインの提案を共同で作成しました。またトルコ人専門家は期間中に京都大学防災研究所、兵庫耐震工学研究センター(E-ディフェンス)、免震研究推進機構(E-Isolation)を訪問し、世界の最先端をいく日本の地震関連実験施設の視察も行いました。

招聘したトルコ人専門家2名

アンタキヤ住宅模型について構造担当教員と議論を行う

アンタキヤの組積造の模型を作成する

構造担当教員のレクチャーを受ける

アンタキヤ住宅模型について意匠担当教員と議論を行う

京都大学防災研究所 視察

兵庫耐震工学研究センター(E-ディフェンス)視察

免震研究推進機構(E-Isolation)視察

阪神・淡路大震災により全壊し、免震工法により復元された旧神戸居留地十五番館も見学

「現地調査ワークショップ」

2024年5月28日(火)~30日(木)

参加者:武庫川女子大学専門家2名、バフチェシヒル大学若手専門家2名、ムラツ・ドゥンダル教授

 トルコ・バフチェシヒル大学の若手専門家2名とともに、アンタキヤの町を歩きながら被災状況や復旧状況を把握しました。バフチェシヒル大学建築デザイン学部長のムラツ・ドゥンダル教授も同行しました。

夜のアンタキヤ 手前は建物が崩壊したため暗闇

地元の方々にも同行いただき調査を行いました

トルコ人若手専門家にモルタル強度の説明を行う

地元の構造設計者が関わった住宅を視察する

壁厚実測の様子

詳細図が入手できた住宅を視察する

断面構成を分析する

ドローンで撮影したアンタキヤの様子

ドローンで撮影したアンタキヤの様子

ウズンチャルシュ(ロングバザール)復興の様子

集合写真


【関連事業リンク①】文化庁 令和5年度緊急的文化遺産保護国際貢献事業(専門家交流)「トルコ共和国における歴史的市街地の復興に関する国際貢献事業」


【関連事業リンク②】Survey Report on the Areas Affected by the Earthquake with Epicenter in Southeastern Turkey, 2023